議会報告

2016.03.03 |定例県議会

2016年2月定例県議会(予算委員会)の総括質問の報告

1.外国人観光客受け入れのための環境整備について

県では、今後増加が見込まれる外国人観光客の受け入れのための環境整備をどのように進めていくのか。

答弁内容(商工労働部長 麻生 恵)

県では、これまで外国人観光客からのニーズの高い公衆無線LANの利用環境の整備、外国人にも利用しやすい案内表示の普及促進、トイレの洋式化に対する助成などを行ってきたところです。
また、訪日外国人の生活文化に配慮した飲食の提供や喫煙などの面での対応も重要であることから、関係事業者に対する研修や的確な情報提供に努めているところです。
こうした外国人観光客の視点に立った受入環境の整備は重要なため、来年度以降も、これらを着実に進めてまいります。

2.交通インフラを活用した地方創生について

(1)成田空港と県内観光地を結ぶ高速バス実証運行事業について、今年度の結果を踏まえ、どのような点を見直して実施するのか。

答弁内容(総合企画部長 鶴巻 郁夫)

今年度の実証運行においては、有料でも利用を希望される方が8割以上にのぼった一方、改善すべき点としては、県外からの利用が伸びなかったことやルートによっては所要時間が長くなったことなどが挙げられます。

そこで、来年度は、県外へのプロモーションや周知期間を含めた広報のあり方、ルート設定における速達性などを十分に検討するとともに、有料での運行のほか、ルートにあたる自治体からも費用負担をしていただき、より現実的な実証運行としていきたいと考えています。

(2)実証運行において、地域の活性化を図るため、関係市町と具体的にどのように連携して取り組んでいくのか。

答弁内容(総合企画部長 鶴巻 郁夫)

高速バス実証運行事業の実施にあたっては、空港利用者を県内観光地に呼び込むとともに、地域の魅力を再発見するため、地域の取組と連携・協力することが重要であると認識しています。

そこで、今年度の実証運行にあわせて、市町村が実験的に実施したバス停からの二次交通への助成や観光施設の割引などについて、アンケートでも好評であったことから、来年度は、ルートにあたる全ての市町での実施を促すなど、関係市町との連携を密にして取り組んでまいります。

(3)県では、県外からの一層の観光誘客に向けて、空港と県内地域を結ぶ高速バス実証運行のほかに、様々な交通インフラを活用した 地方創生に今後どのように取り組んでいくのか。

答弁内容(商工労働部長 麻生 恵)

県では、これまで県内外で様々な観光プロモーション事業を展開してきたところですが、来年度は、これらの施策に加え、観光客の落ち込む秋に、市町村や民間事業者等と連携し、高速バスの実証運行や有料道路の無料開放、さらに鉄道を活用したフリー切符の販売を集中実施し、新たな観光需要の掘り起こしに繋げていくこととしています。
また、千葉市・船橋市と共同で、東京湾での周遊観光ツアー等の可能性を探るため、旅客船の実証運航も行ってまいります。

3.安全・安心対策について

(1)首都直下地震に備え、首都圏以外の自治体との相互応援体制の整備を進めるべきと思うがどうか。

答弁内容(知事 森田 健作)

首都直下地震が発生した場合、首都圏全域にわたり大きな被害を受ける可能性があり、千葉県を含む九都県市では、相互の支援が困難であることを想定し、大阪府など関西の12府県市で構成される「関西広域連合」との間で、災害時の相互応援に関する協定を締結しています。
今年度は、九都県市合同の図上訓練において、千葉市直下での地震を想定し、関西広域連合からの応援を受け入れる訓練を実施したところであり、訓練の結果を踏まえて相互応援にかかるマニュアルを充実するなど、今後とも、大規模災害に対する広域的な応援体制の強化を図ってまいります。

(2)県民による「自助」の取組が進むよう、どのように防災 意識を高めていくのか。

答弁内容(知事 森田 健作)

県では、防災基本条例を制定し、県民による生活物資の備蓄等に配慮を求めてきたほか、県民だよりやFMラジオ放送による防災啓発など、様々な機会を通じて、県民の方々に自助の取組を促してきたところです。

また、来年度は、各家庭における飲料水や食料の備蓄を含む、日頃の備えなどを内容とする県民向けのパンフレットを、各家庭に配布することを予定しており、今後とも、県民の防災意識を高めるよう努めてまいります。

(3)学校施設の耐震化は今年度末に概ね完了すると聞いているが、他の県有建築物の状況はどうか。

答弁内容(施設改修課長 赤坂 恭男)

県有建築物の耐震化につきましては、「県有建築物の耐震化整備プログラム」に基づき、計画的に進めております。
今年度末における県有建築物の状況につきましては、全体で耐震化率約96パーセント、県立学校を除くと約93パーセントとなる見込みです。

(要望)
県有建築物の耐震化は、首都直下地震などに備え、一刻の猶予も許されない状況である。
今後とも耐震改修を、より一層推進し、地震による建築物の被害を最小限に留め、県民の安全を確保するよう要望する。

(4)県内の水産物における放射性物質の影響はどうか。

答弁内容(農林水産部長 小倉 明)

現在、県内の水産物のうち、東京湾や内房・外房などの海面で出荷が規制されている魚種はありません。
一方、内水面では、利根川ではウナギに、また手賀沼ではウナギ、コイ、ギンブナ及びモツゴに、国の指示等により出荷の規制が行われています。

(5)内水面魚種の規制解除に向けた県の取組はどうか。

答弁内容(農林水産部長 小倉 明)

県で放射性物質検査を実施した結果、利根川のギンブナについては、平成27年8月11日に、事実上の規制措置である出荷自粛要請を解除しました。
また、江戸川のウナギについても、平成28年1月14日に出荷自粛要請を解除したところです。

(6)手賀沼における規制解除の見込みはどうか。

答弁内容(農林水産部長 小倉 明)

手賀沼において、これまでコイ、ギンブナ、モツゴなど5つの魚種、76検体について検査をしてきたところ、放射性物質濃度は全体的に低下傾向にあります。
県では、一日も早い出荷の再開につなげるため、本年度から、国の研究機関と共同で、魚の大きさや季節ごとの放射性物質濃度を調査しておりまして、部分解除の可能性について検討しているところです。
今後も、こうした取組を継続しまして、国や関係漁業協同組合とも連携しながら、手賀沼における早期の漁業再開を目指してまいります。

4.教育問題について

(1)小学校のスクールカウンセラーを70校から105校に配置を増やすとあるが、その理由は何か。

答弁内容(教育長 内藤 敏也)

小学校において、いじめや不登校、暴力行為等が増加しており、スクールカウンセラーの必要性が高まっています。
現在、未配置の小学校においては、中学校のスクールカウンセラーで対応しているところですが、35校増やすことで、配置校だけでなく、近隣の未配置校からの相談要請にも対応しやすくなり、教育相談体制の一層の充実が図られるものと考えております。

(2)地区不登校等対策拠点校のスクールソーシャルワーカーを5人から8人に増員するとあるが、その理由は何か。

答弁内容(教育長 内藤 敏也)

拠点校配置として2年目となり、スクール ソーシャルワーカーの活動内容や活用方法について周知が進み、学校や関係機関等への訪問回数も増えています。
3人の増員によって、児童生徒が抱える問題の解消に向け、児童生徒が置かれた様々な環境への働きかけや、関係機関との連携等による支援が、より一層行えるものと考えております。

(要望)
スクールカウンセラーが児童生徒、保護者の悩みや、教職員からの相談に適切に助言・援助を行うことは、児童生徒のいじめや不登校等の早期発見・早期対応に有効であることから、小学校への更なる配置の拡充をお願いする。
児童生徒が本人の努力では変えようのない事情によって、教育の機会を奪われないように、教育と福祉等をつなぐスクールソーシャルワーカーの更なる拡充を要望する。

(3)私立学校の経常費補助に ついて、これまでどのように 充実を図ってきたのか。

答弁内容(総務部長 中島 輝夫)

私学助成のうち最も大きな割合を占める経常費補助の一般分について、平成21年度からは、高等学校と幼稚園に対して、いわゆる国の標準単価に加えて、県単独の上乗せを6年ぶりに復活させたところです。

以後、毎年度、県単独の上乗せ額の引き上げを行い、全国平均に追いつくことを目標に充実を図ってまいりました。

(4)経常費補助の現在の状況は全国水準と比べてどうか。

答弁内容(総務部長 中島 輝夫)

平成27年度においては、高校にあっては、生徒一人当たり、国の標準単価に、県単独で1万7,500円を上乗せした33万8,439円を、幼稚園にあっては、県単独で3,800円を上乗せした18万2,235円を、それぞれ助成することとしており、初めて全国平均を上回ったところです。

(5)来年度についてはどのような考えで予算案を計上しているのか。

答弁内容(総務部長 中島 輝夫)

平成28年度については、他県の動向等を踏まえながら、県単独の上乗せを、平成27年度と比べ、高校については1,000円増の1万8,500円、幼稚園については800円増の4,600円と、さらに拡大する予定であり、一層の支援の充実を図っているところです。

5.医療・福祉の充実について

(1)医師・看護師不足が深刻であるとのことだが、今後の対策はどうか。

答弁内容(保健医療担当部長 古元 重和)

本県における医師及び看護職員の人口10万人当たりの人数は、いずれも全国45位となっており、医師・看護職員の確保が重要な課題と認識しています。

平成28年度当初予算において、医師確保対策として、医師不足の自治体病院へ医療機関から派遣する医師数の増、並びに県内就業を希望する医学生に対する修学資金貸付枠の1名の増及び産科枠2名の新規設定を行います。

また、看護職員確保対策として、県内就業を希望する看護学生に対する修学資金貸与枠を60名拡大するとともに、大学の看護学部新設を支援することにより1学年の定員数を増やすなど、看護職員確保に努めてまいります。

(2)この問題は、長期にわたる対策が必要と考えるがどうか。

答弁内容(保健医療担当部長 古元 重和)

平成26年4月に県が公表した長期需要調査では、団塊の世代が後期高齢者となる平成37年に、最大で医師が1,170人、看護職員が15,150人不足するとの結果が出ており、全国2位のスピードで高齢化が進む本県では、医師・看護職員の確保が重要な課題であると認識しております。

そのため、大学や職能団体と連携を密にし、医師・看護職員の養成・確保、定着、再就業支援等、様々な対策をとりつつ、その効果も評価しながら、粘り強く確保対策を実施してまいります。

(3)今後更に進む高齢化への対応について、県はどのように考えているのか。

答弁内容(健康福祉部長 中岡 靖)

県では、高齢者の方々が、介護が必要になっても安心して暮らし続けられるよう、認知症対策の充実を図るとともに、特別養護老人ホームなどの施設整備に取り組んでいます。
また、地域包括ケアを進める上で重要な在宅での介護サービス提供体制の整備等にも積極的に取り組んでいるところです。

(4)在宅サービスに対する支援について、県はどのように取り組んでいくのか。

答弁内容(健康福祉部長 中岡 靖)

自宅で暮らす高齢者の日常生活を支援するため、「通い」を中心に「訪問」や「泊り」を組み合わせて提供する事業所や、日中、夜間を通じて必要な時にサービスを提供する「定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所」等の施設整備などの支援を行っています。
また、定期巡回随時対応サービスについては、来年度も県単独の運営費補助等により、事業者の参入促進に取り組んでいきたいと考えています。

(要望)
来年度の予算案をみても、高齢福祉関係予算については充実が図られているようだが、急速な高齢化に的確に対応しながら、地域で安心して暮らせるよう、引き続き積極的な支援の取組を要望する。

(5)県では、各地域における介護人材確保対策の強化について、どのように考えているのか。

答弁内容(健康福祉部長 中岡 靖)

県では、県内を12地域に分け、事業者や関係団体を構成員とする千葉県福祉人材確保・定着地域推進協議会を設置し、各協議会の関係者が連携しながら、介護の仕事の魅力を伝えるイメージアップ、事業者と求職者のマッチング機能の強化、介護職員のキャリアアップ支援などの介護人材確保対策事業を実施しています。

今年度からは、新たに、地域包括ケアシステムの担い手である市町村を介護人材確保対策事業の補助対象に加え、地域の実情に即した取組の強化を図ったところです。

今後、市町村による取組がさらに拡充していくよう、支援してまいります。

6.環境施策の推進について

(1)家庭における再生可能エネルギー導入の現状はどうか。

答弁内容(環境生活部長 遠山 誠一)

家庭における代表的な再生可能エネルギーとして、太陽光発電がございます。本県においても、近年、設置する住宅が増加しておりまして、総務省の調査によりますと、平成25年の設置数は約6万6千件、全世帯に占める割合、約2.6%となっておりまして、平成20年と比較して約3倍に増加しております。

(2)県は、家庭における再生可能エネルギーや省エネルギー設備の導入支援について、どのように取り組んでいくのか。

答弁内容(環境生活部長 遠山 誠一)

県では、家庭における省エネルギー設備の導入支援として、平成25年度から、ガスと空気で電気とお湯を作り出すエネファームや、電気自動車の充給電設備などに対して補助を実施しています。

また、再生可能エネルギーの導入支援としては、従来から太陽光発電設備への補助を実施していますが、今年度から太陽熱利用システムを補助対象として追加し、更に来年度は地中熱利用システムも追加する予定です。

(3)手賀沼内及び流域に拡大するナガエツルノゲイトウの対策を河川管理者として、どう認識しているのか。

答弁内容(河川環境課長 中橋 正)

手賀沼においては、ナガエツルノゲイトウによる、排水機場への目詰まりなどの障害は発生していないことから、河川管理者としては、現時点において、問題ないものと認識しています。

7.道路問題について

(1)新木駅南口ロータリー前に設置された横断歩道への信号機設置が必要と考えるがどうか。

答弁内容(警察本部長 森田 幸典)

ご指摘の場所については、駅ロータリー前で交通量も多く、過去に横断歩行者の交通事故も発生していることから、信号機設置の必要性が認められるところであります。
そこで現在は、地域住民の方々の意見も踏まえ、設置に向けた調整を進めているところであります。

(2)県道布佐停車場線と国道356号が交差するJR布佐駅入り口の交差点の歩道整備について、取り組み状況はどうか。

答弁内容(道路環境課長 櫻井 謙治)

県道布佐停車場線と国道356号との交差点の歩道整備については、現地測量が完了し、現在、詳細設計を実施しております。

来年度は、用地取得に向けた境界確認などを予定しており、地元関係者のご協力を得ながら、事業の推進に努めてまいります。

8.手賀沼周辺の整備について

(1)手賀沼湖岸堤防整備の進捗状況はどうか。

答弁内容(河川整備課長 木村 滋)

手賀沼湖岸堤防については、平成26年度から若松地区1.1キロメートル区間で堤防の整備を進めております。
このうち、0.8キロメートル区間については、地盤改良工事が必要であり、平成27年度末に完了する見込みです。

(2)今後の見通しはどうか。

答弁内容(河川整備課長 木村 滋)

平成28年度からは、築堤工事に着手します。

施工にあたっては、安定性を確保するため、段階的に盛土を行うこととし、まず、現在の堤防高付近まで盛土を行います。

次に、計画堤防高を確保するため、残る盛土を進め、平成29年度末を目標に築堤工事を完了させます。

その後、堤防の安定を確認しながら、管理用通路の整備を進めてまいります。

(3)我孫子市若松地区の手賀沼湖岸堤防整備に伴い、遊歩道として活用したい動きがあるが、どのような対応があるのか。

答弁内容(河川整備課長 木村 滋)

我孫子市若松地区の手賀沼湖岸堤防には、管理用通路も設置します。
この管理用通路を遊歩道として整備する場合は、今後、位置、費用負担、構造、維持管理について、地元我孫子市と調整を行ってまいります。

(要望)
手賀沼湖岸堤防整備にあたっては、遊歩道の整備ができるよう、地元我孫子市とよく調整をしていただきたい。

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